《グルーヴとリズムの小話集》第2話:「焦りというシンコペーション」
焦りとは、未来の私が、今を叩く音
makiart
2025.11.10
誰でも
焦りは、リズムの乱れじゃない。
ただのシンコペーション——拍の前に出すぎた一音。
かつての私は、それを“ミス”だと思っていた。
テンポを乱す不協和音のようで、聴くたびに体が固まった。
でも今は少し違う。
焦りが鳴るとき、そこには次の拍を先取りする感性があると。
焦りは未来を感じる耳の反応。
まだ形になっていないことを、
身体が「もう始まってる」と知らせているだけ。
だから最近は、焦りが来ても止めない。
深呼吸して、その音を聴く。
「いま速くなってるな」とわかれば、
テンポを戻すだけで、また流れに戻れる。
焦りを消そうとするのではなく、
焦りの拍を“曲の一部”として取り込む。
その瞬間、
リズムは不安から音楽に変わる。
人生の演奏に、完璧なテンポは存在しない。
シンコペーションがあるからこそ、
曲にグルーヴが生まれる。
※シンコペーションとはリズムの規則的なアクセント位置をずらすこと。本来アクセントが来る「表拍」ではなく、弱拍や裏拍にアクセントを置くことで音楽に意外性や躍動感を与える。
アクリル絵の具
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